次亜塩素酸ナトリウム活性水とは


アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムは、これまで単に水で希釈して使用されてきましたが、殺菌力の本体である次亜塩素酸(HClO)成分は、アルカリ側ではわずか数%しか含まれていませんでした。その結果、十分な殺菌効果を得るためには、高い濃度で使用する必要がありました。

 

 これを0.01~0.05%濃度の酢酸で、pH5.0~6.0の酸性側にpH調整すると、成分の大部分が次亜塩素酸となり、少量の次亜塩素酸ナトリウムで強力な殺菌が可能となり、臭いも少ない次亜塩素酸ナトリウム活性水が作製されます。


活性次亜水 Q&A


活性次亜水とは

Q.1 活性次亜水の除菌 はなぜ次亜塩素酸ナトリウムの除菌力よりも強いのですか。

水で薄めただけの次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の遊離有効塩素はアルカリ性であり、除菌力の弱い次亜塩素酸イオン(clo-)の状態で存在しています。これに酢酸を加えると、次亜塩素酸イオン(clo-)に酢酸の水素イオン(H+)が結合し強力な除菌力を持つ弱酸性の次亜塩素酸分子(Hclo)を主成分とした水溶液に変化します。(Hclo)は(clo-)に比べて80倍の除菌力があるといわれています。そのため(Hclo)を主成分とした活性次亜水は次亜塩素酸ナトリウム水溶液よりも強力な除菌力があります。(*1文献)

Q.2 活性次亜水の除菌力は温度の影響を受けますか?

一般的に次亜塩素酸ナトリウムの除菌力は、温度が10度上昇すると、2~3倍強くなることが知られています。したがって活性次亜水の除菌力も温度を10度上げると約2.5倍となります。しかし、60度以上に加温すると短時間で分解してしまうため注意が必要です。

Q.3 アルコールとの違いは?

消毒用アルコールとして最も除菌力があるとされている70%エタノールは、中程度の除菌力といわれ耐性菌が出来ます。また芽胞菌やノロウイルスには有効ではありません。これに対して活性次亜水は耐性菌を作らず、耐熱性の芽胞にも大変強い除菌効果を示します。また、アルコールを用いた手指の除菌ではどうしても手荒れが起きてしまいますが、弱酸性の活性次亜水は皮膚のPHと同等に調整されていますので、手荒れを起こすことがありません。

Q.4 活性次亜水の保存性は?
活性次亜水の濃度低下は次の要因で起こります。

1.有機物に触れることによる分解(除菌効果を発揮した後速やかに分解する)
2.紫外線による分解(光の当たるところで保管すると短期間で分解する。)
3.加温による分解促進(60℃以上に加温すると分解が促進される。)
4.希釈(薄める度合いに比例して濃度は低下する。)

これらのことを踏まえて遮光密閉で保存した場合には、1年以上有効濃度を維持することが分かっています。

(*2試験データ)

Q.5 活性次亜水はどこで、どのような目的で使われていますか?
活性次亜水は以下のような現場で使用されています。
  • カット野菜工場で野菜の除菌処理及び手洗用水として
  • 魚の加工場で魚類及び工場全体の除菌剤として
  • 卵の加工場で卵の除菌水として
  • 寿司屋さんのまな板やショウケースの除菌用として
  • 飲料工場で飲料ボトル及び、輸送タンクの除菌剤として
  • 保健施設の施設内感染予防用として
  • 病院や診療所の院内感染予防用として
  • 動物実験施設の消臭目的として
  • 血液透析施設で透析装置内配管の洗浄消毒用として

一般家庭の総合除菌剤として

活性次亜水の安全性について

Q.6 活性次亜水を使った場合、金属を腐蝕させないのですか?

活性次亜水は、塩酸などの無機酸を用いてPH調整を行った次亜塩素酸Naや、次亜塩素酸Naの希釈水(アルカリ性)、電解強酸性水、オゾン水等と比較して圧倒的に金属腐食性が少ないです。これは塩素濃度が低い(50ppm)、pH調整が確実に行われている(pH5.5)、有機酸が金属表面の酸化皮膜形成を助けることなどからです。

Q7 活性次亜水はPH調整剤として、酢酸を使用していますが、なぜ酢酸なのですか。他の酸性のものではだめなのですか?
pH調整用の酸として酢酸を使用する理由には
  1. 塩酸によるpH調整に比べ塩素ガスの発生率が低い。
  2. 食品添加物に指定されている。
  3. 金属表面の酸化皮膜形成を助けるため、長期の使用においてステンレス配管を痛めない。

なお、塩酸を使用して作成することも可能ですが、塩素ガスの発生リスクが高いため金属腐食や作業環境に対する欠点があります。

Q.8 活性次亜水を使うと、トリハロメタンができてしまうのでは?

活性次亜水は弱酸性で使用されるため、トリハロメタンの生成には関与しません。日本の水道法により、「水道水には給水栓末端で0.1~0.4PPMの次亜塩素酸ナトリウムが含まれていなければならない」と規定されていますが、その昔、水道水の生成過程において汚れたままの河川水に高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを添加して、トリハロメタンが生成されてしまい問題視されたことがありました。そのため現在はフィルターなどで1次処理を施した水に次亜塩素酸ナトリウムを添加するように変更し、トリハロメタンは生成されなくなりました。

Q.9 活性次亜水を下水に流したとき、浄化槽の有用バクテリアを殺さないのですか?

活性次亜水は、細菌・有機物に接触すると短時間で分解しほとんど残留しません。したがって、通常の除菌用

途に使用される濃度と量では浄化槽の有用微生物にダメージを与えません。(大量排水の場合は調査が必要になる場合があります。)これに対し、一般の次亜塩素酸ナトリウムは濃度に比例して残留時間が長くなるため、浄化槽に影響を与えてしまいます。

Q.10 活性次亜水を誤って飲んでしまった場合、どうなりますか?

活性次亜水は除菌剤ですので飲んではいけません。しかし誤ってのんでしまっても、大量でない限りは胃腸に達する前に有機物と反応して除菌力は消失します、そのため体内の有用菌類にはほとんど影響を与えません。

(*3試験データ)

活性次亜水の特性について

Q.11 次亜塩素酸Naを希釈すると濃度(ppm)は下がりますが、その時pH値は変化するのですか?
次亜塩素酸ナトリウム(アルカリ性)を水(中性)で薄めれば薄めるほど限りなくpH7に近づきますが、酸性に変わることはありません。理論的には、pH13のものを10倍、100倍にすると、pH12、11、と変化していきます。活性次亜水は次亜塩素酸ナトリウムを酢酸によって弱酸性に調整した、ものです。
Q.12 活性次亜水は、井戸水でも生成できますか?
飲適水レベルであれば活性次亜水は問題なく生成できます。しかし、水質にはかなりの地域差がありますので、生成される活性次亜水の濃度も影響を受けます。そのため設置の際の濃度調整試運転作業は必ず必要となります。
Q.13 アルコールとの違いは?
消毒用アルコールとして最も殺菌力があるとされている70%エタノールは、
中程度の殺菌力といわれ耐性菌が出来たり、芽胞菌やノロウイルスには有効ではありません。
これに対して活性次亜水は耐性菌を作らず、耐熱性の芽胞にも大変強い殺菌効果を示します。
また、アルコールを用いた手指の殺菌ではどうしても手荒れが起きてしまいますが、
弱酸性の活性次亜水は皮膚のPHと同等に調整されていますので、手荒れを起こすことがありません。
Q.14 活性次亜水濃度の安定性と殺菌力について
活性次亜水は通常50ppm pH5.5で使用されますが、長期保存によって
濃度が低下してしまった場合でも殺菌効果は残存しています。
50ppmの活性次亜水は消費期限の目安として6ヶ月と表示されていますが、
6ヶ月で突然使えなくなってしまうものではありません。
時間の経過とともに少しずつ濃度は低下しますが、例えば20ppmにまで濃度が低下した場合でも、
ノロウイルスを簡単に不活化する能力を維持しています。
保存実験では、遮光密閉で保存された活性次亜水は1年以上有効濃度を維持することが確認されています。
(*3.4試験データ)
Q.15 活性次亜水は人体に用いることが出来ますか?
肌荒れも無く、残留毒性もほとんど無い活性次亜水は皮膚にかけて用いることも可能です。
しかし、活性次亜水は医薬品として登録された消毒剤ではありませんので、
治療行為に用いる場合には医師の判断および、患者への十分な説明と同意が必要となります。
例えば自身の判断で自分の水虫治療に用いて十分な効果があったからといって、
他者への効果を保障することは出来ませんので、この点を十分注意しなければなりません。
Q.16 活性次亜水には衣服や絨毯などの脱色作用はありますか?
通常の次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性ですので、油脂の分解作用があり、
繊維や食品に用いた場合に色落ちがありますが、活性次亜水は弱酸性に調整されているため、
衣服や肉・魚・野菜などにかけても脱色することがありません。
しかし、色落ちが無いということは、布巾の漂白や、風呂の黒かびの掃除などに用いても、
殺菌効果はあるものの漂白作用は期待できませんのでご注意願います。
Q.17 活性次亜水を用いる場合には、どのような使い方が効果的ですか?
活性次亜水は有機物に触れると短時間で分解してしまいますので、
綿製のタオルなどをあらかじめ浸しておくと殺菌効果がなくなってしまいます。
ガーゼやタオルなどと一緒に活性次亜水を用いる場合には、使う直前に浸してください。
また、殺菌対象物に目に見える汚れが残っていると、活性次亜水が細菌に触れることが出来ませんので、
必ず汚れを取り除いてから活性次亜水をかけてください。出来るだけ大量の活性次亜水を掛け流すように用いることが重要です。
Q.18 活性次亜水は電解酸性水とどこが違うのですか?
電解酸性水は、水を電気分解することにより次亜塩素酸を作り出します。
電気分解をするために高価な電極が必要となり、これは定期的に交換しなければなりません。
また、電気分解の能力には限界があり、毎分5L程度の生成能力のものが一般的です。
活性次亜水は希釈混合水ですので、大流量タイプ(毎分40L)の装置でも装置のコストはほとんど変わりません。電解酸性水と活性次亜水の違い
1.電解酸性水は生成能力に限界があるため、大流量タイプになるほど装置が高額になる。
(活性次亜水装置は大流量でも低コスト。)
2.電解酸性水は定期的な電極や隔膜の交換が必要。 (活性次亜水装置は消耗部品がほとんどない)
3.電解酸性水は電気分解助剤として塩または塩酸を用いるため、金属腐食が起きやすい。
(活性次亜水はその成分に含まれる有機酸の効果で金属表面の酸化皮膜形成を助けるため、
長期使用においてステンレス配管をいためにくい。)
4.電解酸性水は活性次亜水に比べ不安定であり、保存ができない。 (活性次亜水は遮光密閉状態で6ヶ月以上安定)
Q.19 活性次亜水は新型インフルエンザや鳥インフルエンザに効果がありますか?
乾燥した冬場に蔓延するインフルエンザウイルスは、
一般的に加湿するだけでも不活化することができる薬剤耐性の無いものですので、
活性次亜水による手洗いや加湿は大変有効に作用します。
しかし、一旦感染してしまうと活性次亜水のような環境殺菌では役に立たなくなってしまい、
医療機関での注射や内服薬などの治療が必要となります。そのため感染予防がとても重要となります。
.Q20 活性次亜水は多剤耐性緑膿菌や多剤耐性アシネトバクターに効果がありますか?
A 多剤耐性菌とは、人体に感染した細菌の治療として抗生物質などを多量に投与することによって、
細菌が薬剤耐性を持ってしまうために発生します。
この場合の薬剤耐性とは体内で抗生物質が効かないということです。環境中に存在する場合には、
通常の緑膿菌やアシネトバクターと同様に比較的簡単に殺菌することができる細菌です。
院内感染を防ぐためには、人体に入り込む前に殺菌してしまうことが重要です。

*1 食品工業vol.49
*2 室温保存試験2009年12月~2011年3月
*3 マウスによる試験:ステリック再生医科学研究所
*4 殺菌効果試験:食品分析センター